優利加の「生涯現役のトレード日記」
「実践家」と只の「評論家・アナリスト」を峻別するリトマス紙試験
04月28日
先週末の米国株式相場は小幅続伸した(DJIA +20.10 @40,113.50, NASDAQ +216.90 @17,382.90, S&P500 +40.44 @5,525.21)。ドル円為替レートは143円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,107に対して、下落銘柄数は487となった。騰落レシオは101.05%。東証プライムの売買代金は4兆7221億円。
TOPIX +23 @2,651
日経平均 +134円 @35,840円
米国では、貿易相手国との関税交渉が進んでおり、貿易摩擦問題は最悪期を脱したとの期待が高まり、株価は続伸した。イーロン・マスク氏が5月から米政府効率化省(DOGE)よりもテスラの経営に時間を割くと語り、テスラは9.8%上昇した。
本日4月28日の東京市場では、米国でのハイテク株高を受けて、買いが優勢となった。決算発表が相次ぐ中、業績見通し・自社株買いを材料にした売買が活発となった。信越化学や大和証券グループ、コマツなど決算発表と同時に自社株買いを発表した銘柄が目立って上昇した。株式非公開化を検討していると報道された豊田自動織機はストップ高(22.68%高)となった。他には愛知製鋼(16.1%高)などトヨタグループの銘柄は強かった。日経平均の上げ幅は一時300円を超えたが、その後は戻り待ちの売りに押された。4月30日には赤沢亮正経済財政・再生担当大臣が訪米してベッセント財務長官らと関税を巡る2回目の協議が行われる。
関税交渉は確かに進行しているが、それほどの成果はまだ出ていないにもかかわらず、株価は成果を先取り過ぎているように見える。「相互関税」の発動は90日間の停止後、発動されるのかされないのか、今はまったく予断を許さない。たとえ関税政策が当初より緩和されたとしても、決して近いうちに元には戻らず、悪影響は早晩必ず出てくる(業績を押し下げる)はずなので用心しておくことが賢明だろう。少しでも反落の兆候が見えたら、とりあえず一旦利食い売りするという戦術が今は普段以上に重要だろう。「売った後に上がったら損をするから売らない」という感情は理解できるが、その思考はド素人の発想である。売った後に再び高値を更新してきたら買い直せば良いだけの話である。買い直し・売り直しができない限り、生涯「白帯」のままである。また、これが簡単にできるかできないかで「実践家」と只の「評論家・アナリスト」を峻別するリトマス紙試験となる。
この文章を書きながら20数年前のことを思い出しました。このブログとは別のブログで(運営元が閉鎖したのもう見られないが)、あるトレーダーが私に絡んできました。「自分よりも高学歴なトレーダーはいない!」と。そこで私は「ハーバード大学かオックスフォード大学の博士号を持っているのですか」と質問したら、やり取りしているうちに判明したのはどうやら国内の大学卒(東京大学)でしかも只の「学部卒=学士」でした。海外留学経験や海外勤務の経験がなかったらしく、欧米の国際基準では「学部卒=学士」はどの大学卒でも「低学歴」とみなされることをこの人は知らなかったんです。極め付けだったのは私が大同特殊鋼を買った後、当面の目標リターンを達成した(10%くらい)ので利食い売りしたことを過去のブログに書いてあることをこの人は見つけました。その時は私が売った時よりももっと上がっていました。当然、その間、私は買い直しています。しかし、この自称「最高学歴トレーダー」は私が10%くらいのところで利食い売りしたことしか知らず、しかも、一度売ったらそれでトレードはお仕舞いと信じ込んでいたようで、「たいしたことないな」と書き込んできました。つまり、黒帯トレーダーはいつでも買い直し・売り直しするというスキル(二刀流燕返し)の存在を知らなかったんです。「自称最高学歴」にもかかわらずです。いつまでも学歴がどうこういうので、私が「学歴と株式トレードの成果とはどういう関係があるんですか」と問い正したら、それ以降何も言ってこなくなりました(笑い)。
日経平均の日足チャートを見ると、4日続伸した。ただ、本日は陰線引けで終値は35,840円。3月11日のザラバ安値@35,987円が上値抵抗線として意識されたようだ。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、輸送用機器(1位)、建設(2位)、銀行(3位)、小売り(4位)、海運(5位)となった。
「相互関税」発表後の急落分をほぼ全て取り返した
04月25日
昨日の米国株式相場は続伸した(DJIA +486.83 @40,093.40, NASDAQ +457.99 @17,166.04, S&P500 +108.91 @5,484.77)。ドル円為替レートは143円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上昇する銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,067に対して、下落銘柄数は510となった。騰落レシオは94.92%。東証プライムの売買代金は4兆4020億円。
TOPIX +2,628
日経平均 +667円 @35,706円
米国では、トランプ政権が貿易摩擦で対中国姿勢を緩和し、中国と交渉しているとの観測が主流となり、メガキャプをはじめとするハイテク株の一部が買い戻された。主要3株価指数は大幅続伸した。ただ、中国側はそのような交渉は始まっていないと明確に否定した。
本日4月25日の東京市場では、(1)米国株の続伸、(2)米中貿易摩擦の緩和期待、(3)円高ドル安進行に対する警戒感の後退(24日の日米財務相会談で為替に関する話は全く出なかった)、(4)中国が米国からの輸入品の一部について125%の関税対象から除外することを検討しているとの報道、などにより日経平均は3日続伸した。日経平均の上げ幅は一時800円近くにまで拡大した。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップアップして始まり短陽線で終えた。下向きの25日移動平均線の上にある。4月14日に10日移動平均線の上に再浮上して下げ止まりのサインを点灯させて以来、10日移動平均線を割り込むことなくその上で推移してきた。
4月7日が大底だった可能性がますます高くなった。4月4日時点の信用評価損率は15.31%まで拡大し、この日前後に投げ売りが殺到してセリングクライマックスを迎え、その後は縮小している。今後また揺り戻しで下げたとしても、4月7日よりも上がることはなく、2番底を形成するだろうと想像できる。つまり、これからまた売られて下げたときは押し目買い狙いの買いがすぐに入ると見ている。本日の上げで、トランプ米大統領が4月2日に「相互関税」を発表してからの急落分をほぼ取り返した。125%とか145%などという狂気の関税はそう長く維持できるものではない。早晩、ぐっと下げてくるはずだ。そうでなければ本物の狂人である。
33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、電気機器(2位)、その他製品(3位)、海運(4位)、ガラス・土石(5位)となった。
米中デタント(雪解け)なるか?
04月24日
昨日の米国株式相場は続伸した(DJIA +419.59 @39,606.57, NASDAQ +407.63 @16,708.05, S&P500 +88.10 @5,375.86)。ドル円為替レートは142円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方がやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が606に対して、下落銘柄数は985となった。騰落レシオは91.96%。東証プライムの売買代金は4兆1451億円。
TOPIX +8 @2,593
日経平均 +171円 @35,039円
米国では、前日にトランプ大統領がパルエルFRB議長を解任するつもりはないと発言して中央銀行の独立性棄損への懸念が後退した。この日はそれに加えて、トランプ大統領が中国との貿易交渉により、現在145%の対中関税が大幅に下がる可能性があると示唆した。WSJの報道によれば、トランプ政権は対中関税を50〜65%に引き下げることを検討している。トランプ大統領は中国の反応次第で関税引き下げは交渉可能であると明言した。激化してきた対中貿易戦争が和らいだことで、株価は続伸した。
本日4月24日の東京市場では、米国株の続伸の流れを受けて、且つ、円相場は1ドル=143円台まで円安に振れたことを好感して、半導体関連銘柄を中心に買い優勢となった。24日に日米財務相会合が予定されており、日本側は円安是正を求められるとマーケットは警戒している。しかし、ベッセント米財務長官は、関税を巡る日米交渉で「特定の通貨目標を求める考えはない」と述べたことで、円高への警戒感が後退して株高につながった。日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。トヨタ自動車や東京エレクトロンなど主力輸出銘柄が買い戻され、国内外景気の悪化懸念により日銀は追加利上げを先送りにするとの見立てから三菱UFJなど銀行株は売られていたが、ここにきて買い戻されている。他方、関税の影響を受け難いJR東日本(6%安)など鉄道、不動産、消費関連銘柄は資金の避難先として買われていたが、ここにきて売りが急増して、関税鈍感銘柄から関税敏感銘柄へ乗り換えが起こっている。ただ、上値を追う動きは限られた。米中貿易摩擦に対する過度な警戒感は和らいだものの、関税交渉の先行きは依然として不透明なままである。
日経平均の日足チャートを見ると、2日続伸して下向きの25日移動平均線の上に辛うじて再浮上したが陰線で終えた。このまま続伸するか、或いは、戻りの限界となり反落するかはトランプ大統領の米中デタントへの呼びかけに中国がどう反応するか次第だろう。
33業種中17業種が上げた。上昇率トップ5は、その他製品(1位)、非鉄金属(2位)、保険(3位)、海運(4位)、輸送用機器(5位)となった。
トランプ米大統領は「ルビコン川を渡らず」引き返し株価は大幅高
04月24日
昨日の米国株式相場は大幅反発した(DJIA +1,016.57 @39,186.98, NASDAQ +429.52 @16,300.42, S&P500 +129.56 @5,287.76)。ドル円為替レートは141円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げた。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,347に対して、下落銘柄数は244となった。騰落レシオは96.38%。東証プライムの売買代金は4兆2914億円。
TOPIX +52.20 @2,584
日経平均 +648円 @34,869円
米国では、スコット・ベッセント財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と発言した。前日の大幅安により割安感が高まった米国株は急速に買い戻された。米10年債利回りは前日の4.405%から一時は4.372%まで低下し、米ドルも他通貨に対して反発した。
本日4月23日の東京市場では、トランプ大統領がパウエルFRB議長について「解任するつもりはない」と発言したと報じられ、中央銀行の独立性を侵すことにより米ドルの基軸通貨としての信頼が瓦解し始める(ルビコン川を渡る)のではないかとの懸念が後退した。前日の米国株の大幅反発に加え、円相場は一時143円台まで円安ドル高に戻したことで、自動車株をはじめとする輸出関連銘柄が目立って買われた。トヨタ自動車は一時5%高、三菱UFJも5%高、値がさ半導体株も大幅反発した。日経平均の上げ幅は一時900円を超えた。ただ、上値を追う動きは限られた。今週から決算発表が本格化するためだ。日銀の追加利上げ観測が後退したために売られていたメガバンク株は別として、自動車株や半導体株は大きく売られていた反動で買われたに過ぎないと見ている。つまり、ここから反発はあるだろうが、それはあくまで「戻り相場」であり、トランプ政権が続く限り新高値を更新するような持続力のある上昇相場とはならないと見ておきたい。
ある程度予測はしていたが、米トランプ大統領はまた手のひら返しの朝令暮改を実行した。デジャブである。前日までは「『予防的利下げ』が多くの人から求められている」、「(パルエル氏)を一刻も早く解任すべきだ」と自身のSNSで発信していた。しかし、市場の圧倒的抵抗圧力に負けた。大方の予想通り、且つ、国際金融の理論通り、米国は株安・債券安・通貨安の「トリプル安」の大波に放り込まれたからである。同様のことは少し前にもあった。4月2日には「相互関税」を公表したが、米国債に売りが殺到して長期金利が4.5%台まで急上昇して、株安・債券安・通貨安の「トリプル安」に見舞われた。マーケットの反応に驚いて、9日にはその一部を90日間停止すると発表した。今回もトランプ大統領の手のひら返しに対してマーケットは好感して反応したが、問題が解決したわけではない。むしろ、トランプ大統領の政策はいつでもいとも簡単にひっくり返される可能性が高いというメッセージをマーケットに明確に伝えたのではないだろうか。つまり、トランプ政権の政策運営に対する不確実性の高さが一層意識されるようになった。
日経平均の日足チャートを見ると、大きくギャップアップして始まり、4月10日の高値@34,639円を終値ベースで完全に上抜けした。上向きの10日移動平均線の上にあるが、下向きの25日移動平均線の下にある。どちらの力が強いかは事前にはわからない。株式相場を通底で動かす相場の背景の変化次第である。
33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、輸送用機器(1位)、ゴム製品(2位)、保険(3位)、電気機器(4位)、精密機器(5位)となった。
トランプ大統領は「ルビコン川」を渡るか?
04月22日
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -971.82 @38,170.41, NASDAQ -415.55 @15,870.90, S&P500 -124.50 @5,158.20)。ドル円為替レートは一時139円台まで下落した。本日の日本株全般は、米国株式相場が大幅下落したにもかかわらず、上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,113に対して、下落銘柄数は483となった。騰落レシオは95.84%。東証プライムの売買代金は3兆2838億円。
TOPIX +3 @2,532
日経平均 -59円 @34,221円
米国では、トランプ大統領がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任をチラつかせながら利下げを迫った。もし、本当に政治的な理由でFRB議長を解任すれば、トランプ大統領はカエサルのようにルビコンを渡り(決して越えてはいけない一線を越える)、後戻りできなくなる。既に失いつつある基軸通貨としての米ドルの地位がますます加速度的に崩れ、その結果、過去数十年のように慢性的な経常収支の赤字を他国にファイナンスしてもらう(他国が対米貿易黒字で稼いだ米ドルを、価値が安定した資産として米ドルを買い、米国債その他のドル建て資産を外貨準備として、或いは民間が有価証券投資として保有することで資金が米国に還流する)ことが困難になる。米国中央銀行の独立性が危機に瀕しているとの認識が広まり、米国株、米国債、米国株が揃って急落する「トリプル安」となった。ダウ工業株30種平均は一時1,311ドルまで下げ幅を拡大し、トランプ大統領が下げたかった金利は逆に上がり、米長期金利は4.327%から4.414%へ上昇した。
本日4月22日の東京市場では、米国株の大幅下落と円高ドル安の進行により、東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体関連銘柄やファーストリテイリングをはじめとするその他主力株の多くが売られて株価指数は続落した。伊藤忠や三菱商事などの総合商社や、関税や円高ドル安の影響を直接受けにくいKDDやセコムのような内需株の一角は買われた。米国株が大きく崩れたにもかかわらず、日本株は今日も底堅い動きだったと言える。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,113に対して、下落銘柄数は483となったのだから。
日経平均の日足チャートを見ると、2日続落はしたが、米国株の大きな値崩れを考慮すると小さな下げである。4月14日に10日移動平均線の上に再浮上してからずっとその上にとどまり続け、4月18日からは10日移動平均線の傾きは上向きに転じている。
33業種中24業種が上げた。上昇率トップ5は、パルプ・紙(1位)、卸売り(2位)、電気・ガス(3位)、水産・農林(4位)、空運(5位)となった。
「賢者は歴史に学ぶ。凡夫は経験に学ぶ。愚者は経験しても学ばない」
04月21日
先週金曜日の米国株式相場は休場だった。ドル円為替レートは140円台後半の先週末比大幅な円高ドル安水準で推移している。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が653に対して、下落銘柄数は937となった。騰落レシオは96.95%。東証プライムの売買代金は3兆857億円。
TOPIX -30 @2,529
日経平均 -450円 @34,280円
先週金曜日の米国株式市場は休場だった。本日4月21日の東京市場では、これからの日米交渉でトランプ政権からの円高要求プレッシャーがますます高まることを先読みして、さらに、トランプ大統領が自分の意にそぐわない(利下げに応じない)パルエルFRB議長を任期途中でも解任すると脅迫しているため米ドルの国際的信用の下落を危惧して、1ドル=140円台後半の円高ドル安に大きく振れた。そのためトヨタやマツダなどの自動車関連銘柄が売られた一方、ニトリや神戸物産など円高で仕入れコストが下がる銘柄は買われた。
1970年代に米ニクソン大統領もトランプ大統領と同じことを時のFRB議長に迫り、押し通した。その結果、制御不能なほどのインフレをもたらし、その代償として1980年代にはレーガン大統領の時、FRBは金利政策を引き上げ続け、米ドル金利は一時は20%まで上昇した。その副産物として大幅なドル高となった。そのまた副産物として、米ドルの高金利と米ドル高により債務返済が絶望的になった南米諸国が次々と債務不履行(デフォルト)宣言をして、世界経済を大混乱させた。ビスマルクは「賢者は歴史に学ぶ。愚者は経験に学ぶ」と言った。私(優利加)は「賢者は歴史に学ぶ。凡夫は経験に学ぶ。愚者は経験しても学ばない」と著書「生涯現役の株式トレード技術」の中で指摘した。歴史は繰り返さないが韻を踏む。これから1〜2年は乱気流の中を飛行機が飛び抜けるようなものかもしれない。
まもなく主要企業の決算発表が本格化することも買い手控えにつながった。さらに週末には日米財務相会談も控えている。
日経平均の日足チャートを見ると、短陰線で先週金曜日の上昇分をほぼすべて打ち消した。4月10日の地長大陽線の値動きの範囲内に押し戻された。
33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、輸送用機器(1位)、石油・石炭(2位)、非鉄金属(3位)、機械(4位)、銀行(5位)となった。
米国株3日続落を跳ね返して日本株は続伸
04月18日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -527.16 @39,142.23, NASDAQ -20.71 @16,286.45, S&P500 +7.00 @5,282.70)。ドル円為替レートは142円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは上昇銘柄数が1,496に対して、下落銘柄数は120となった。騰落レシオは100.12%。
TOPIX +29 @2,559
日経平均 +353円 @34,730円
米国では、新規失業保険申請件数が21.5万件(<予想22.5万件)と強い結果となった。他方、3月の新規住宅着工件数は132.4万件(<142.0万件)と弱い結果となった。そして、4月フィラデルフィラ連銀業況指数は-26.4(<前月分12.5)と大きく悪化した。エヌビディアは前日に6%強下落したが、この日も続落しハイテク株全般を道連れにした。決算が悪かった医療保険最大手のユナイテッド・ヘルス・グループは22%も急落した。ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時719ドルまで拡大し、ダウ工業株30種平均は3日連続で下落した。S&P500はわずかに反発したが、周りを見渡せば、関税政策も米中貿易摩擦も、企業業績の見通しも、金融政策も、どれもこれも不透明で不確実性が高いままである。唯一の良いニュースは、新たな悪いニュースが飛び出してこなかったことくらいである。
4月16日の講演ではパルエルFRB議長が不確実性が高い局面での利下げに慎重な姿勢を示すと、トランプ大統領が自身のSNSで「仕事をしていない」、「パウエルを一刻も早く解任すべきだ」とパウエル議長を猛烈に批判した。中央銀行の独立性が脅かされているとマーケットは受け止めた。仮に、トランプ大統領がパウエルFRB議長を分の意にそぐわないからという理由で解任したら、米株式相場は大暴落するだろう。さらに、米ドルは他通貨に対して大幅安となり、遂に「パックス・アメリカーナ」終焉に止めの一撃を与える。それは米国が数10年にも及ぶ巨額の双子の赤字でも国が回ってきた根本的な「魔法の仕掛け」である「基軸通貨」の地位が根底から崩れることを意味する。米中央銀行の政治からの独立性は世界の金融・資本市場の安定にとてつもない貢献をしてきた。それを意図的に崩すというのは金の卵を産むガチョウを殺すことに似た無知から来る愚行であり、その代償は計り知れない。
本日4月18日の東京市場では、米国株の続落にも拘わらず、日本株全般は続伸した。米国株に先行して大きく下げた日本株には割安感を感じる投資家がいる。本日は中外製薬など薬品株が目立って上昇した。中外製薬は米イーライ・リリーに開発・販売の権利を譲渡している肥満症治療薬候補の治験結果(第3相臨床試験)が良好(減量効果や安全性が確認できた)だった。そのため、将来のロイヤルティー収入増への期待が高まり、株価の上昇につながった。中外製薬の1銘柄だけで日経平均を124円押し上げた。欧州はイースター(復活祭)に伴う休暇に入り、米国では18日は聖金曜日のため株式市場や債券市場が休場となる。そのため、市場参加者が少なく薄商いになっている。
米通商代表部(USTR)が4月17日に、米国内に寄港する中国製・中国船籍の船を対象に、半年後から手数料を徴収すると発表した。これが実現すれば、世界の米国向け船舶需給がひっ迫するので、漁夫の利を得るのは海運大手3社だろうということで、日本郵船、商船三井、川崎汽船などが目立って上げた。
トランプ関税による株価の乱高下の中、庶民は生活防衛に走る。少しでも安いものを求めるのが人情である。その結果、節約志向の高まりで人気がさらに高まっているのが、神戸物産(「業務スーパー」を運営)と大黒天物産(ディスカウントストア、「ラ・ムーを運営」である。株価も上昇基調が鮮明である。
日経平均の日足チャートを見ると、陽線で2日続伸して4月10日の長大陽線の高値@34,639円を終値ベースで僅かだが上抜けた。チャートだけを見るとこのまま上に続伸しそうだが、言うこととやることが二転三転するトランプ大統領がどう出てくるか次第でチャートの定石など簡単に吹き飛ぶから、決めつけないことが肝要だろう。
33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、医薬品(1位)、海運(2位)、鉱業(3位)、倉庫・運輸(4位)、建設(5位)となった。
本日の楽観的な株価上昇は違和感が大きいが・・・
04月18日
昨日の米国株式相場は大きく下落した(DJIA -699.57 @39,669.39, NASDAQ -516.01 @16,307.16, S&P500 -120.93 @5,275.70)。ドル円為替レートは142円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,183に対して、下落銘柄数は398となった。騰落レシオは93.76%。東証プライムの売買代金は3兆7410億円。
TOPIX +32 @2,530
日経平均 +457円 @34,378円
米国では、トランプ政権がエヌビディアの性能を落としたAI用グラフィックプロセッサー「H20 」を中国向け輸出規制の対象とした。これによりエヌビディアは55億ドルの費用を2025年2〜4月期に計上することになった。当然利益はその分だけ縮小するため、株価は一時10%強急落した後6.7%安で終えた。エヌビディアはつい先日の4月14日に今後4年間で最大5000億ドルのAIインフラを米国で生産すると発表して投資家が期待したばかりだった。その分だけ落胆度は大きい。同業ライバルのアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も7.35%下落した。その他、アップル、マイクロソフト、テスラ、メタも下落した。
他方、株式相場の下落をFRBの金融緩和が止める「パウエル・プット」に対する期待が後退した。パルエルFRB議長が、トランプ関税は短期的にインフレを押し上げる可能性があるため「目標からさらに遠ざかる可能性が高い」と述べたことから、早期利下げ期待が遠のき、株価を押し下げた。オランダ半導体製造装置大手のASMLホールディングが16日に2025年1〜3月期決算の発表と共に新規受注額を発表したが、これが期待されていたよりも大幅に下振れしたため、半導体セクター全体が売られた。トランプ関税による景気悪化懸念に加えて、期待されていたFRBによる追加利下げ延期の可能性が株価を押し下げた。ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時900ドルを超え、主要3株価指数はそろって大幅安となった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も4%ほど下落した。
本日4月17日の東京市場では、米国株が大幅安になったのに、不思議なことに本日の日本株はほどんど影響を受けなかった。米国株の大幅下落の悪影響は前日に既に株価にある程度織り込み済みだったからである。日本時間の17日朝に行われた日米関税交渉協議では為替に関する議論はなかったと報道されれると、円相場がそれまで円高ドル安方向への動きが逆転しはじめ、141円60銭台だった円相場は円安ドル高方向に転じ、一時は143円台にまで反転した。これに歩調を合わせるように海外投機筋が株価指数先物を買い上がった。14時30分には台湾積滞電路製造(TSMC)が発表した2025年1〜3月期決算で純利益が市場予想を上回り、これを株価材料として日経平均は大引けに向けて一段高となった。日米関税交渉では防衛費の増額を求められるとの思惑から三菱重工、川崎重工、IHIなど防衛関連銘柄の一角が買われた。但し、関税協議の具体的な合意はまだ先のことであるため、本日の楽観的な株価上昇は違和感が大きい。
イェスパー・コール氏が指摘しているように「パックス・アメリカーナ」は数十年前から崩れ始めていたが、「相互関税」が発表された4月2日に完全に崩壊した。第2次世界大戦後、米国が中心となり自由貿易と民主主義を、軍事力と経済力の裏付けを以って推し進め、世界は米国を太陽系の太陽のようにして再編成された。その間米国は率先して世界他の国が守るべきルールを作っていった。その結果、米国はかつてのローマ帝国時代の「パックス・ロマーナ」のように「我が世の春」を謳歌した。しかし、今、トランプ政権はそのルールを自ら破壊し始めた。第2次世界大戦前の時代、つまり、英国中心に世界が回っていた時代「パックス・ブリタニカ」の時代のように米国は保護主義へ急速に舵を切った。対外的には高関税による税収を財源として、国内では減税政策を実施するつもりのようだが、1930年代のように世界中に保護主義が感染して世界経済が悪化する可能性が高いため、期待した関税収入は得られないと見ている。数年後までにはその結果は歴然と判明するはずだ。乞うご期待!
トランプ関税の影響で日本経済が悪化する可能性が高い中で、日銀が追加利上げをするには逆風が強くなっている。かといって再び金融緩和をできるかといえば、日本の対米貿易黒字を声高に非難しているトランプ政権と様々な交渉をしなくてならない状況を考えると、円安ドル高誘導と解釈される金融緩和政策の実施は政治的にきわめて難しいだろう。「前門の虎後門の狼」である。
日経平均の日足チャートを見ると、陽線で反発し、10日移動平均線の上にとどまっている。10日移動平均線の傾きは下向きからもう少しで水平になりそうである。但し、未だに4月10日の長大陽線の範囲内から上抜けできていない。つまり、十分強くないということである。
33業種中31業種が上げた。上昇率トップ5は、石油・石炭(1位)、保険(2位)、銀行(3位)、鉱業(4位)、その他製品(5位)となった。
値動きの荒さがなくなってきた
04月17日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -155.83 @40,368.96, NASDAQ -8.31 @16,823.16, S&P500 -9.34 @5,396.63)。ドル円為替レートは142円台前半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄数の方がやや多くなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が643に対して、下落銘柄数は941となった。騰落レシオは93.48%。東証プライムの売買代金は3兆3816億円。
TOPIX -15 @2,498
日経平均 -347円 @33,920円
米国では、直前2日間でダウ工業株30種平均が900ドルほど上昇していたので、売りが出やすく利益確定売りが優勢となった。バンク・オブ・アメリカやシティ・グループは好決算を発表して上昇した。米商務省は半導体と医薬品の関税導入に向けた調査を始めたと公表した。関税政策を巡る不透明感はさらに増すばかりである。
本日4月16日の東京市場では、トランプ米政権による追加関税や対中国輸出規制による半導体関連企業の業績悪化を懸念し、売り優勢となった。後場になるとオランダ半導体製造装置大手ASLMホールディングスの決算発表があり、1〜3月期で新規売り上げが大幅に減速したことが分かった。これによりアドバンテストなど日本の半導体関連銘柄も大きく売られた。日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。また、エヌビディアが中国向けに設計した人口知能(AI)半導体が米政府の輸出規制対象となったため損失(日本会計基準でいう特別損失)と計上すると発表した。時間外取引でエヌビディアは売られ、それが東京市場でも半導体関連銘柄の売りを助長した。4月17日には台湾積滞電路製造(TSMC)が決算発表するため、半導体企業の業績に対する警戒感が高い。中国の1〜3月期実質GDPは前年同期比5.4%増加(>市場予想5.0%)したが、激化する米国との貿易戦争に疲弊して中国の景気は冷え込むとの見方が強く、日本株の買い材料とはならなかった。この見方を裏付けるように上海総合指数も香港ハンセン指数も軟調な動きだった。中国関連銘柄のファナックは売られた。
日経平均の日足チャートを見ると、下ひげを引いた短陰線で反落した。下向きの10日移動平均線の上に踏みとどまってはいるが、本日を含めて4日連続で陰線ばかりであり、その前日の長大陽線の値幅範囲内での動きが続いている。それでも、値動きの荒さがなくなってきたことは良いことだ。
33業種中21業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、非鉄金属(2位)、銀行(3位)、精密機器(4位)、繊維製品(5位)となった。
ページの先頭へ
ブログトップへ
PC版へ