植物は、外敵である害虫や紫外線から身を守るために外側を最も強い成分でガードしており、その成分を「ファイトケミカル」と言います。野菜の「いのち」を守る成分は、私たち人間にとっても、抗ガン作用となり、免疫力を上げる助けをしてくれるのです。ファイトケミカルは第七の栄養素とも呼ばれ、活性酸素を抑える働きがあることが近年、医学的にも解明されてきました。
しかし、普通に野菜を食べているだけでは、ファイトケミカルは細胞壁にしっかりと守られているため、胃腸で吸収されにくく、大部分が排泄されてしまいます。ところが、コトコトゆっくり煮出すことで作るベジブロスは、細胞壁を壊して、だしとして溶け込ますことができるため、ファイトケミカルを最も効率良く吸収することができる奇跡の野菜だしなのです。
本書では、著者が30年余り実践し続けてきたベジブロスをさらに進化させ、魚のアラを使った魚ベジブロスと、旨味を追求した鶏ベジブロスの3種類のだしをご紹介します。
ベジブロスに良質な動物性たんぱく質を加えることにより、免疫力のアップ、ガンや糖尿病、メタボなどの中年期のリスクの予防はもちろん、転倒による骨折、認知症などの高齢期のリスクにも対応していく事が可能になりました。
基本のベジブロスの取り方から保存法。ベジブロスに向いている野菜や忙しい時にも重宝する、ながら取りの方法などを詳しく紹介し、すぐに使えるレシピ全60品を収録しました。
さらに、本書に記載のQRコードから基本のベジブロス・魚のベジブロス・鶏のベジブロス全ての取り方と、水で洗うより汚れや雑菌が落ちやすく、皮や根っこの保存性が高まる下処理法としておすすめしている、50℃洗いの方法を動画でわかりやすくサポート。お手持ちのスマホ等でご確認いただけます。
効果については、白澤抗加齢医学研究所所長 白澤卓二医師と著者の対談で詳しく解説しています。さらに、ベジブロスをメニューに取り入れているシェフや実践者の声をもとに、皆様の疑問にお応えしています。
丹精込めて栽培された有機野菜を無駄なく使いたい“まるごといただく”という思いからはじまったベジブロス。野菜の皮や根っこ、ワタや種など、今までゴミとして捨てられていたものが、健康や美容に有効に活用できることは食品ロスの問題の解決策としても考えられます。
ベジロスの材料となる野菜は安全な野菜を使いたいという想いは、信頼できる農家・日本の農業を応援したいという願いとなり、タカコ ナカムラが提唱するベジブロスは30余年の歴史を越え、国連サミットで採択されたSDGs(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)の理念とも一致するところとなりました。
【著者紹介】 タカコ ナカムラ
料理家。山口県に生まれ、生家は割烹料理店。大学を卒業後、商社勤務。
その後上京し、桜沢里真氏にマクロビオティックを学ぶ。
アメリカ遊学中にWholeFood(ホールフード)の概念に出会う。帰国後、安全な素材を使った菓子工房「ブラウンライス」創業。2003年、表参道に安全な素材を使ったカフェレストラン「BrounRiceCafe’」メニュープロデュース。
2006年札幌パークホテルのカフェメニュー監修。2006年、表参道に「タカコ・ナカムラWholeFoodスクール」開校。2007年代々木上原に乾物をテーマにしたカフェ&デリ「kanbutsu Cafe(乾物カフェ)」プロデュース。2008年4月タカコ ナカムラWholeFoodスクール福岡校を開講(※)2011年、東京都大田区洗足池に「ホールフード・キッチンスタジオ」オープン。塩麹、50℃洗いブームの火付け役として注目、マスコミで話題になる。2012年、福岡キャナルシティーに低温スチーミングとバイタミックスを使ったフレッシュジュースをテーマにした「TOSカフェ」をプロデュース。
2013年「ベジブロスをはじめよう」(角川マガジンズ)をきっかけに、第1次「ベジブロス」ブームを引き起こし、食のトレンドを生みだす料理家として、オーガニックライフをコンセプトにしたカフェプロデュースや、食育講演、レシピ提供、商品開発など、地域興しや付加価値の提案をモットーに全国を飛び回り活躍中。
食と暮らしと環境までを考えるホールフードライフを、次の世代に残し、バトンを渡す活動として、2008年5月「ホールフード協会」を設立。同協会にて、野菜の目利きは勿論、野菜のおいしさと栄養を最大限に引き出す調理法やレシピが学べる「野菜コーディネーター」、味噌や醤油など日本の伝統食(発酵食)の効果や正しい選び方、調理法のコツまで、発酵食に関する知識と技能が幅広く身につく「発酵食スペシャリスト『醸しにすと』」など、資格認定の通信教育を監修。
主な著書に『皮も根っこもまるごといただく 奇跡の野菜だし ベジブロス』
『老化物質AGEためないレシピ ウェルエイジングのすすめ』(パンローリング)がある。
一般社団法人ホールフード協会代表理事。
パートナーは、イタリア料理の名店「アクア・パッツア」料理長 日髙良実氏。
※福岡校開講エピソード
開講のきっかけとなったのは、地元の主婦、安武千恵さんとの出会いから。乳がんと闘病中の千恵さんは、ホールフードの考えに魅かれ、自ら1日体験講座を企画し、タカコ ナカムラを福岡に引き寄せた。(「はなちゃんのみそ汁」参照)福岡でのスクール開校に尽力し、初代福岡校事務局としてホールフード活動をライフワークとする傍ら、タカコ ナカムラと共に福岡でホールフードの種をまきはじめた。その千恵さんの想いは、福岡に芽吹き、7回忌を迎えた2014年7月、福岡では「いのちのうた」コンサートが開催された。
【監修】
白澤抗加齢医学研究所 所長 医学博士
お茶の水健康長寿クリニック 院長
白澤卓二(しらさわ たくじ)
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。
東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科 加齢制御医学講座 教授。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。米国ミシガン大学医学部神経学客員教授、獨協医科大学医学部生理学(生体情報)講座 特任教授、日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCSO、ライフ・レングス(R)社(本社マドリッド)科学顧問。