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週末投資家のためのカバード・コール
〜基礎から応用まで〜



著者 KAPPA
A5判 ソフトカバー 240頁
定価 本体2,000円+税
2013年2月発売
ISBN 978-4-7759-9122-0

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目次 | まえがき (PDF 319KB) 

現役医師が書いた、予測に頼らない「低リスク&高リターン」株式投資法

米国市場で勝負! よりリスクは低く、よりリターンは高く
普通の投資家にこそ真似してほしい、株式投資とは一味違う戦略とは?

 もし、私たちの人生が150 年か200 年ぐらいあれば、市場の平均指標に連動するETF やバリュー系ETFの長期投資は確かに有効だと思われます。しかし、私たちの人生はあまりに短いのです。

 この状況の中、利益を上げるにはどうしたらよいのでしょうか? それは、オプションを利用することです。この本で紹介するオプションは、「カバード・コール」を中心とした、最も基本的かつ保守的なオプションです。「カバード・コール」とは、「株式の買い」と、「コール・オプション(株式を、あらかじめ定められた期日までに、あらかじめ定められた価格で買う権利)の売り」のポジションを同時にとる戦略です。これは、「時間価値は必ず減衰する」という不滅の原理を利益の源泉としたものです。その結果、単なる株式投資をする場合に比べて、より高いリターンをより低いリスクで得られる可能性が高まります。

 本書では、そのカバード・コールの基礎から応用までのすべてを紹介します。


はじめに

私は今も現役の医師であり、株式投資やオプション取引で生計を立てているわけではありません。私が前著『東大卒医師が教える科学的「株」投資術』を書いたのは、世の中にエビデンスを無視した「がんも切らずに治る驚異の○○療法」の類の、あまりに非科学的な投資術を教える本が街中に溢れていたからです。私が提示した方法は、過去のデータで検証された、市場の平均に追従するインデックス投資を越えるリターンを上げることができる方法でした。

私が医師であることに利点があるとすれば、確率論的な問題を常に扱っているので、株式投資においても、統計学的な原理や方法論的な原則を正しく適用するように訓練されてきたことでしょう。

株式投資において最も重要なことは、自分を「特別な人」と思うことではなく、「愚衆の一人」に過ぎないことを自覚することです。市中に出回っている本の勝利の実績が、実力か、まぐれなのかは検証のしようがありませんが、少なくとも「スーパースター」が書いた本では、凡人には真似のしようがありません。

本書のテーマは、前著に引き続き、「予想はよそう」と「誰でもできる投資法」です。この本は、主として、週末ぐらいしか株価を見ることができない、私のような週末投資家を念頭に、今までオプション取引をしたことがない人のために書きました。プロ並みの時間、情報、知識をもっているスーパー個人投資家のための本ではありません。また、そうなるための指南書でもありません。

本書は、オプションの中でも、米国で最も人気がある、カバード・コールを中心に書きました。カバード・コールとは、原資産(株式)の買いと、コール・オプション[原資産(株式)を、あらかじめ定められた期日までに、あらかじめ定められた価格で買う権利]の売りのポジションを同時にとる戦略です。

しかしながら、日本市場では、制度的な理由で実質的にこれを行うことができません。そのため、日本ではカバード・コールは普及しているとは言えず、一般の方は名前すら知らないかもしれません。カバード・コールは単に株式を持つ場合に比べて、より低いリスクでより高いリターンを得ることができる、非常に優れた戦略です。相場が膠着状態のときに最も威力を発揮しますが、相場上昇時や下落時でも、有効です。

本書が、オプションをリスクが高いものと思い込んで、最初からオプション取引を敬遠していた個人投資家に、これらの戦略を行うきっかけになってくれれば、望外の喜びです。

2012年8月

軽井沢・千ヶ滝にて
KAPPA


本書の主な内容

本書を読んでほしい人


著者紹介

KAPPA
東京大学医学部卒業。本業は医師。医学の学術論文、著書多数。現在、ファンド・マネージャーなど金融のプロの健康管理に携わっている。 個人投資家としての投資の研究・実践暦15年。欧米の行動ファイナンス、ファクター分析の学術論文をいち早く日本の個人投資家に紹介した。著書に、『東大卒医師が教える科学的「株」投資術』がある。
ブログ: http://blog.livedoor.jp/kappa_ccw/


週末投資家にはカバード・コールがお勧め

 この本で紹介するオプションは、「カバード・コール」を中心とした、 最も基本的かつ保守的なものです。

 カバード・コールとは、原資産(株式)の買いとコール・オプショ ン[原資産(株式)を、あらかじめ定められた期日までに、あらかじ め定められた価格で買う権利]の売りのポジションを同時にとる戦略 です。この戦略は、投資家が原資産の一定以上の値上がりに伴う利益を放棄することの見返りとして、オプション・プレミアムを受け取る ことによって現金収入を増やします。オプションの時間価値の減衰を 利益の源泉としているとも言えます。

 マルキール教授は名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』で「株 式投資不滅の真理」を著しましたが、株式投資に「不滅の真理」があ るはずはなく、あるのはただひとつ、「時は金なり」です。時間価値 は時間とともに必ず減衰します。カバード・コールを行うことにより、 毎日少しずつ減る時間価値を利益として獲得するのです。

 カバード・コールを行うと、株式投資と比べて、これらがいかに簡 単に利益を上げられる構造になっているかがわかります。株式投資の ように、相場に左右されることはありません。相場が上がっても下がっ ても、横ばいでも利益が上げられます。景気とも関係ありません。相 場の予測をすることも必要ありません。

 これらのオプション取引を、月に1日か2 日するだけで、単に株式 を保有している場合に比べて、より高いリターンをより低いリスクで 得ることができる可能性が高まります。このため、米国では、カバー ド・コールはかなり一般的に行われていて、これに関する本は何十冊 も出版されています。

 しかし、日本市場では実質的にこれを行うことができません。それ は、第一に、日本株では、日経225 に対するオプションしかなく、個 別銘柄やさまざまなETF に対するオプションがないこと、第二に、 これが大事なことですが、日本のオプションは差金決済なので、カバー ド・コールの良さの大部分が失われてしまうことがあります。このた め、日本市場では、本来の意味でカバード・コールを行うことはでき ず、カバード・コールに関する本もほとんど出版されていません。本 書は、カバード・コールに焦点を当てた、おそらく日本語の本として は、最初の本です。


目次

まえがき (立ち読みページ)

はじめに
プロローグ - 私がオプションに出会うまで
1 ファンダメンタル分析は労多くして、益僅少
2 インデックスのBuy & hold 時代の終焉
3 オプションの勧め
4 週末投資家にはカバード・コール(CCW)がお勧め (立ち読みページ)

第1章 オプションの概要
1 オプションとは何か
2 米国市場のオプション
3 オプション(証券オプション)の種類

第2章 オプションの基礎
1 オプションの売買とは
2 オプションの売買で覚えておくべき用語
3 コールの売買とは
4 プットの売買とは
5 権利行使価格と原資産価格(株価)の関係
6 オプションの売買、権利行使、権利消滅
7 プレミアム(オプション価格)とは
8 プレミアムの決まり方
9 オプション売買の4つの形 〜復習〜

第3章 カバード・コール(CCW)について
1 カバード・コール(CCW)の概要
2 リターンの計算
3 原資産(株式)は何がよいか?
4 権利行使価格はどれがよいか?
5 コールはどの満期日がよいか?
6 カバード・コールのフォローアップについて
7 ケース・スタディ
8 カバード・コール(CCW)の実例紹介
コラム:機械的銘柄選択法について
コラム:Leveraged ETF を使った戦略

第4章 現金確保プット売り(CSP)について
1 現金確保プット売り(CSP)の概要とフォローアップ
2 現金確保プット売り(CSP)の実例紹介

第5章 カバード・コール(CCW)と現金確保プット売り(CSP)のエビデンス
および追加的な事項
1 カバード・コール(CCW)と現金確保プット売りのエビデンス
2 追加的な事項
コラム:リターンとリスクの復習

第6章 LEAPSダイアゴナル・スプレッド (LDS)について
1 LEAPSとは何か?
2 LEAPS ダイアゴナル・スプレッド(LDS)とカバード・コール(CCW)との比較
3 LEAPSの株価変動時の値動き
4 Leaps ダイアゴナル・スプレッド (LDS) のフォローアップ
5 ケース・スタディ
6 LEAPSダイアゴナル・スプレッド (LDS)実例紹介

第7章 まとめ 〜3本の柱、その補強と修理〜
1 第1の柱について:CCW、CSP& LDS
2 第2の柱について:ETF
3 第3の柱について:個別銘柄(趣味)
4 柱の補強について
5 柱の修理:リペア戦略
参考文献
エピローグ - KAPPA の世界から観た人間の投資-
あとがき

付録 〜米国口座開設について〜
1 米国口座の開設の仕方
2 入金の方法
3 注文の仕方と手数料について
4 出金の仕方

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