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現代語新訳 世界に誇る「日本のこころ」3大名著――『茶の本』『武士道』『代表的日本人』

現代語新訳 世界に誇る「日本のこころ」3大名著――『茶の本』『武士道』『代表的日本人』


著 者 岡倉天心、新渡戸稲造、内村鑑三
訳 者 関岡孝平
定 価 本体1,200円+税
2014年11月発売
四六判 478ページ 
ISBN 978-4-7759-4130-0

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目次 | 著者紹介

1家に1冊の名著

 1868年、江戸城が無血開城し明治維新を迎えた日本は、欧米諸国に進出してグローバル化の波にさらされていた。そして、日清戦争と日露戦争を経験すると、アジアから初めて世界の列強と肩を並べる国が出てきたと、世界的な注目を集めはじめる。
 しかし、それと同時に、日本人は奇妙で、野蛮な民族だと数々の無理解と偏見の目で見られることになった。
 そこで、日本というものを世界に知らしめようと、1900年を挟んでわずか13年の間に日本を代表する3人の文化人によって、欧米人に向けて英語で日本を紹介する著作が相次いで書かかれた。
  それが『茶の本』(岡倉天心)、『武士道』(新渡戸稲造)、『代表的日本人』(内村鑑三)である。
 いずれの作品も、当時世界中で大変な評判となった。特に『武士道』は、英語のみならず、ドイツ語、ポーランド語、フランス語、ノルウェー語、ハンガリー語、ロシア語、イタリア語など多くの国で翻訳されるベストセラーとなった。
 それらは、世界の要人達にも絶賛され、次のようなエピソードもある。
 当時アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領のもとに、『武士道』が届いた。すると大統領は手にいれるやいなや、徹夜で読破してしまう。そして感動のあまり翌日には、30冊を世界中の要人に配り、「ぜひ一読してください」と勧め、自分の子供たちにも読み聞かせたという。さらに、日露戦争の講和条約締結の際には「あの『武士道』の国のためなら一肌脱ごう」といって、日本とロシアとの戦争終結に向けての調停役を買って出たといわれている。
 また、ケネディ大統領が「日本で最も尊敬する人物は誰ですか?」と日本人新聞記者に問われ答えた「上杉鷹山」は、『代表的日本人』に書かれている5人の志士のうちの一人である。
 この3冊は、日本はけっして野蛮なのではなく、誇り高い国なのだということを、まさに世界中に知らしめたのだ。
 『茶の本』は、1906年にニューヨークで刊行。岡倉天心がボストン美術館の東洋部の顧問をしてからの著書。単なる茶道の歴史・技術を紹介した専門書ではなく、茶の湯を切り口として日本の住居や習慣、衣服や料理、陶磁器、漆器、絵画、そして文学に至るまで、日本文化全体のありようを説いた日本に関する文明論の著作である。
 『武士道』は、1900年にアメリカ・フィラデルフィアの書店にて出版。その後世界的なベストセラーとなる。「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」といったサムライの精神力を生んだ武士道の本質、つまりは、日本人の「忍耐強さ」「連帯感」「誠実さ」「他人に対する思いやり」といった精神は「日本(人)の魂(心)」であると説き、日本人の強靭な精神を生んだ武士道の本質、武士は何を学びどう己を磨いてきたのか、時代に左右されない根本的な日本の道徳がいかに受け継がれてきたのか解き明かしている。
 『代表的日本人』は、1894年刊行。内村鑑三が「西郷隆盛」「上杉鷹山」「二宮尊徳」「中江藤樹」「日蓮」という日本を代表する5人について書いている。それぞれの生まれ、育ち、考えや行動について紹介しているのだが、ただの人物伝としてではなく、5人の生き方を通して、利己心を捨て、他人に対して誠意を尽くす生き方、日本人の本質について主張し、日本の思想や誇りある伝統精神を紹介している。
 この『茶の本』『武士道』『代表的日本人』は、今もなお世界中で読み継がれており、現代においても日本人こそが、世界で生き抜いていくために精読すべき名著だといえる。
 この3作はいずれも劣らぬ優れた書であり、どの作品から読んでもかまわないが、3作をまとめて読んでみると、共通して見えてくるものがある。それは、現代にも通ずる日本の誇りと言うべき精神であり、日本の文化や思想、道徳、伝統といった「日本のこころ」である。
 それぞれが異なる視点、題材やアプローチで書かれているので、 3作品合わせて読むことで、多角的に「日本のこころ」ともいうべき、精神、道徳、生き方について捉えることでき、より一層深く理解することができるだろう。
  「日本のこころ」は、現代日本人にも知らずのうちに脈々と受けつがれている。例えば、2011年に発生した大震災後に日本人が見せた規律や自発的な他助の精神は世界中から称讃された。そして「おもてなし」に代表される日本人の誇るサービス精神にもまた通底する考え方でもある。
 それを本書を読むことで今一度、思い出しそう。そして、現代日本人として「日本のこころ」を世界に対して発信し、その誇りを未来への世代に受け継いでいくのに役立てて欲しい。  100年を経ても色褪せること無く読み継がれてきた名著は、必ずや今後100年も読み継がれていくであろう。
 この3作を1冊にまとめた本書を一家に1冊の蔵書として、納めていただけたら幸いである。


■目次

はじめに

◆茶の本

訳者序文

第1章 東西を結ぶ茶碗
茶の湯は日常の雑事のなかに美を見つけ讃美する美的宗教に高められた/茶の湯は社会の上下の間に広まった/旧世界と新世界の相互の誤解/西洋での茶の崇拝/古いヨーロッパの文献に現れた茶の記録/物と心の争闘に関する道教の話/富と権力を求める現代の争闘

第2章 茶の変遷
茶の歴史の三段階/唐、宋、明の中国文明を代表する、団茶、抹茶、煎茶/陸羽・最初の茶の使徒/三文明に見られる茶の理想/現代中国の茶は美味しいが茶の理想ではない/日本において茶はよりよく生きるための宗教となった

第3章 道教と禅
禅と茶の関係/道教とその後継者禅は南方中国精神の個人主義的傾向を表している/道教は日常生活を受け入れ、この憂き世のなかに美を見つけようとする/禅は道教の教えを受け継ぐ/瞑想[坐禅]によって究極の自覚[悟り]が得られる/禅は道教と同じく相対を崇拝する/茶の理想は人生の些細のなかに偉大さを見つける禅の思想である/道教が審美的理想のために準備したものを禅が実践した

第4章 茶室
茶室は藁小屋に過ぎない/茶室の簡素純潔/茶室の構造における象徴主義/茶室の装飾法/外界のわずらわしさから遠ざかった真の聖域

第5章 芸術鑑賞
心を通わせる共同性が芸術鑑賞に必要/名匠とわれわれとの間に潜む相互理解/暗示の価値/美術の価値はただそれがわれわれに語る度合いによる/現代の美術への熱狂は真の感動が働いていない/美術と考古学の混同/われわれは生活のなかの美を破壊することによって美術を破壊している

第6章 花
花は永遠の友/西洋社会における花の浪費/東洋における花の栽培/花の宗匠/生け花の芸術/花のために花を愛でること/生花の宗匠/生花の二大流派、様式派と写実派

第7章 茶人たち
真の芸術鑑賞はそれを生きた現実に活かすことによってのみ可能/茶人たちの塀術に対する貢献/生活と生き方に及ぼした茶人の影響/利休の最後の茶の湯

 ◆武士道

訳者序文
初版への序文
改訂第10版への序文
新渡戸博士の『武士道』に寄せて

第1章 道徳体系としての「武士道」
第2章 武士道の源
第3章 「義」――あるいは正義について
第4章 「勇」――勇敢さと忍耐力
第5章 「仁」――慈愛の心
第6章 「礼」――人に対する思いやりの心
第7章 「誠」――正直さと誠実さ
第8章 「誉」――あるいは名誉について
第9章 「忠義」――何のために死ねるか
第10章 武士の教育と鍛錬
第11章 自制心
第12章 切腹と敵討ちという制度
第13章 刀――武士の魂
第14章 女性の教育と地位
第15章 武士道から大和魂へ
第16章 武士道は今も生きているか
第17章 武士道のこれから

 ◆代表的日本人

訳者序文
改訂版はしがき
『日本および日本人』序文

第1章 西郷隆盛――新日本の創設者
1 1868年、日本の維新革命
2 生い立ちと教育、そして天の声
3 維新において西郷が果たした役割
4 朝鮮の議
5 逆賊・西郷
6 西郷の生活と人生観

第2章 上杉鷹山――封建君主
1 封建制度
2 人物とその業績
3 行政改革
4 産業改革
5 社会とモラルの改革
6 その人となり

第3章 二宮尊徳――農民聖者 1 19世紀初頭の日本の農業 2 少年時代 3 腕試し 4 個人的な人助け 5 公共の事業

第4章 中江藤樹――村の先生
1 維新前の日本における教育
2 少年時代と目覚め
3 母親崇拝
4 近江聖人
5 内省の人

第5章 日蓮上人――仏教僧
1 日本の仏教
2 誕生そして出家
3 闇の内外
4 宣言
5 孤独な戦い
6 法難と流罪
7 最後の日々
8 人物評価


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著者紹介

岡倉天心(おかくら・てんしん)、本名覚三(かくぞう)
明治時代の美術評論家、思想家。1863年、横浜に生まれる。父が貿易商だったこともあり、幼少時代から英語を習得。東京大学在学中に日本美術研究科の通訳・助手を務め、文部省入省後は欧米視察を経て、東京美術学校の設立に尽くす。27歳で第二次校長に就任し、横山大観など多数の日本画家や彫刻家を育てるが、内紛により辞任。その後、弟子たちと日本美術院を設立する。一方で、アメリカのボストン美術館の東洋部長にも就任し、同美術館が「東洋美術の殿堂」と呼ばれる基礎を作るとともに、海外での講演活動や執筆活動を通じて、日本ひいては東洋に対する欧米の理解を深めるのに尽力した。1913年没。

新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)
農学者・教育者・思想家。1862年岩手県盛岡生まれ。札幌農学校(現在の北海道大学)で学んだ後、アメリカ、ドイツで農政学等を研究。1891年にメリー・パターソン・エルキントンと結婚。1899年、アメリカで静養中に本書を執筆。帰国後、第一高等学校学長、東京帝国大教授、東京女子大学学長などを歴任。1920年に国際連盟事務次長を務め国際平和に貢献する。1933年没。

内村鑑三(うちむら・かんぞう)
1861年高崎藩士である父の元、東京に生まれる。キリスト教思想家・文学者・伝道者・聖書学者。東京外国語学校を経て札幌農学校に新渡戸稲造、宮部金吾らと勉強を共にする。卒業後、アマースト大学、ハートフォード神学校に留学し、1890年に帰国。第一高等中学校嘱託教員となるが、翌年、教育勅語奉戴式で拝礼を拒んだ行為が不敬事件として非難され免職。以後は著述家として活躍。1919年から内村聖書研究会を開き、多くの人を集めた。聖書にのみ基づく信仰「無教会主義」の創始、伝道者となる。主な著書に『基督信徒のなぐさめ』、『余は如何にして基督信徒となりし乎』などがある。1930年没。



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