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ウィザードブックシリーズ Vol.244

世界一簡単なアルゴリズムトレードの構築方法 世界一簡単なアルゴリズムトレードの構築方法
あなたに合った戦略を見つけるために

2016年12月発売/A5判 190頁
ISBN978-4-7759-7213-7 C2033
定価 本体5,800円+税

著 者 ペリー・J・カウフマン
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子

トレーダーズショップから送料無料でお届け
目次

世界一やさしいアルゴリズムトレードの本
本書でアルゴリズムトレードのデビュー

著者ペリー・カウフマン氏の来日講演がおこなわれます。New 主催:日本テクニカルアナリスト協会

1970年代、ペリー・カウフマンが自動化システムでトレードを始めたとき、プロのトレーダーたちは「バカバカしい」と一笑に付した。しかし、今や高頻度トレードは「一般投資家からお金を盗んでいる」として、その不公平なまでの優位性を非難されるまでになった。本書で公開されたアルゴリズムトレードのテクニックを習得すれば、ホームトレーダーのあなたにもパワーを取り戻すことができるだろう!

プロのトレーダーにとっても、自動化システムの完璧化を目指すマネーマネジャーにとっても、あるいは今日のテクノロジーを使って財務管理を試みる一般投資家にとっても、成功するアルゴリズムトレードシステムの洗練された構築方法を、簡単なハウツー形式で提供するこのコンパクトなガイドは大いに役に立つはずだ。本書は、バックテストの単なるステップバイステップの枠を超えて、あらゆるタイプの市場を40年以上にわたって練り歩いてきた著者の幅広い経験から最良のものを抜粋して、読者にトレードの神髄を伝授してくれる。トレードで成功するためには、利益の出るところで売買するだけではダメで、正しいトレード法を構築してリスクを管理できなければならない。信頼の置けるトレードシステムを一から構築するために、実績のあるこのガイドラインに従うことで、必要な理論はもとより、歴史的観点を見据えたうえで、システムを自信とテクニカルなノウハウに基づいて構築し、あなたのパラメーターやリスクに合わせて微調整することができるようになる。

これらは本書に出てくるアドバイスの一例だが、本書にはほかにも役立つアドバイスが満載されている。

本書で最も重視するものはシンプルさである。基本的なベストプラクティスから実際のシステム設計に至るまで、簡単なアプローチのほうが人々に好まれ、勝利を収めることが実証されている。アルゴリズムシステムは実際に市場で使うと失敗することが多い。本書では、失敗の原因となる落とし穴にはまらないように、勝率を大幅に高めるためのプロセスを紹介している。本書を一度読めば、それはあなたの一部になる。だから、何度も読み返したくなるだろう。

トレーダーとして洞察力を磨き、その洞察力を利益の出る戦略に変えることから、トレードを生計手段とするうえで直面する現実的な問題に至るまで、第一線で戦ってきた40年以上に及ぶ経験を惜しげもなく披歴し、エキスパートと戦えるまでの近道を教えてくれるのが、アルゴリズムトレードの最高傑作ともいえる本書である。


著者紹介

ペリー・カウフマン(Perry J. Kaufman)
株式とデリバティブ市場で40年以上に及ぶ経験を持つ投資コンサルタントの第一人者。著書はこのほかにも『Trading Systems and Methods, Fifth Edition』『A Short Course in Technical Trading』『Smarter Trading』『Global Equity Investing』などがある。コンピューターモデルを使って金融の意思決定を行う先駆者でもある。

目次

(本テキストは再校時のものです)
監修者まえがき

謝辞

第1章 簡単なまえがき――基本ルール
 本書の目的
 基本原則
 プロセス
 基本的なトレードシステム
   トレンドフォローシステム
   短期システム

第2章 アイデア
 一から始めよ
 アイデアはあなたのトレードの性質に合ったものでなければならない
 すぐに利益がほしい
 時の試練に耐える

第3章 複雑にするな
 ノイズについて一言
 統合的解決法と基本要素
 ルールを増やせば、機会は減り、成功も遠のく

第4章 アップルだけをトレードしているときに、なぜ「堅牢さ」を気にしなければならないのか
 それは堅牢なシステムか
 別の見方
 どういったパラメーターの値を使えばよいのか
 複数の時間枠
 トレンド手法に良し悪しはあるのか

第5章 少ないほど良い
 ボラティリティはもろ刃の剣
 強気相場はだれもが現実から目をそらしているときに発生する

第6章 トレンドフォロワーは利食いや損切りは使うな
 トレンド戦略のメカニズム
 トレンドを見つけるのは難しくなってきている
 ユーロドルのトレンド
 損切りはどこに置くか
 利食いについて
 押しで仕掛ける
 どれが最高のトレンドフォローシステムか
   移動平均システム
   ブレイクアウトシステム
   線形回帰システム

第7章 短期トレーダーは利食いせよ
 トレンドフォロワーにとって悪いことは短期トレーダーにとっては良いこと
 損切りはトレンドフォローでは使えなくても、短期トレードでは使えるのか
 物事には必ず例外がある

第8章 完璧なシステムを求めて
 結果を見る
 どれくらいのデータがあれば、またどれくらいのトレードを行えば十分と言えるのか
 どのパラメーター値を使えばよいのか

第9章 機会均等トレード
 ポジションサイズの計算
 低位株は避けよ
 ボラティリティでの調整は株式ポートフォリオには不適切
 先物のリスク
 目標リスク
 ポートフォリオのリターンを計算する
 ポートフォリオのリスクを決める
 複数の戦略を持つことが重要
 機関投資家にとってはそれほど簡単ではない
 良いことが多すぎると悪くなることもある

第10章 検証――人生の分かれ道――重大な選択
 コンピューターに解決させる
 結果をどう評価するか
 フィードバックとは何か
 隠された危険性
 忘れられた歴史
 真のコストを使え
 ダーティーデータを使え
 バックアジャストデータと株式分割調整データ
 異なるパフォーマンス測度
 レシオの解釈
 だれもが情報レシオを使うわけではない
 トレード数
 期待値

第11章 降伏させよ
 損失を出す期間を解決する
 平均的な結果を使え
 システムを絞め殺す
 ルールの一般化
   高ボラティリティ
   低ボラティリティ

第12章 先物についてもっと詳しく
 レバレッジ
 リターンを計算するための換算係数
 FXを忘れるな
 FXの建値
 真の分散化
 商品先物市場のライフサイクル

第13章 悪臭を放つリスクはいらない
 明確なプラン
 低位株は避けよ
 100%を超えるボラティリティ?
 ボラティリティが非常に高いときはトレードするな
 価格ショックを回避せよ
 ポートフォリオのドローダウン
 ビジネスリスク
 再びレバレッジを上げる

第14章 ポートフォリオのために最良の株式と先物を選ぶ
 多くを望みすぎるな
 実用的な解決法
 パフォーマンスのランク付け
 銘柄の入れ替え

第15章 銘柄に戦略を合わせる
 株式のノイズ
 ETFのノイズ
 先物のノイズ

第16章 トレンド戦略の構築
 トレンド
 買いと売りのルール
 最初の検証
 コスト
 期待
 最初の目標をクリアする
 利食い
 ボラティリティフィルター
 ルールを組み合わせる
 複数の仕掛けと手仕舞い
 市場が多いほど、堅牢さは増す
 リスクの安定化
 自分自身でやる

第17章 日中トレード戦略の構築
 時間枠
 概要
 戦略
 戦略を選ぶ
 トレンド戦略か、それとも平均回帰戦略か
 基本的なルール
 ブレイクアウトルール
 利食いと極端なボラティリティ
 トレンドについて

第18章 まとめ

参考資料


■本書への賛辞

「アルゴリズムトレードを行ううえでの重要なポイントを、これほど分かりやすく簡潔な形で示してくれている本はほかにはないだろう。トレードの第一人者の経験が詰まった本書は、トレードに行き詰まったときに見直すことができるように、トレーダーのライブラリーの棚の一番上に置くべきものである」――ジョン・エーラース(『ロケット工学投資法』[パンローリング]の著者、MESAソフトウェアの社長)

「多くの著者が曖昧にするような点を、カウフマンは非常に分かりやすく説明している。トレードを成功に導くための重要な要素に焦点を当てた本書は、アルゴリズムトレードを始めたばかりのトレーダーにとっても、経験のあるトレーダーにとっても、必携書であろう。勝率を高め、詳細に注意を払い、メカニズムを複雑にしすぎるな……。カウフマンのガイドラインに従えば、成功すること請け合いだ。ありがとう、ペリー」――スタンリー・ダッシュ(公認テクニカルアナリスト、TradeStationのApplied Technical Analysisのバイスプレジデント)

「私はカウフマンを25年前から知っているが、彼と話をしたことはなく、著書を読んだこともないが、彼からは何か価値のあるものを感じる。本書も例外ではない。本書はコンパクトながらも、『有言実行』の人物からの、そしてアルゴリズムトレードの必要性を説く人物からの実用的な情報が詰まった本だ。まずはここから始めてみてはどうだろうか」――ロバート・パルド(パルド・キャピタルの社長、『トレーディングシステムの開発と検証と最適化』『アルゴリズムトレーディング入門』[いずれもパンローリング]の著者)

「本書は、1000ページを超える超大作『トレーディング・システムズ・アンド・メソッド(Trading Systems and Methods)』のコインのもう一方の側とも言えるものだ。成功するトレードシステムを構築するうえでの重要なポイントを提示した本書は、アルゴリズムトレーダーが目標を達成するうえで知っておくべき重要な概念を理解するのに役立つものだ」――マリオ・V・グファンティ(SAMTのバイスプレジデント)

「成功するトレードシステムを構築したいのなら、ペリー・カウフマンのシステム開発の基本的な要点を把握することが必須だ」――トム・アスプレイ(プロのトレーダー兼アナリスト、MoneyShow.comの元編集長)


監修者まえがき

 本書は投資コンサルタントのペリー・カウフマンが著した“A Guide to Creating A Successful Algorithmic Trading Strategy”の邦訳である。はじめに断っておくと、これは特定のアルゴリズム(システマティックなトレード戦略)を扱った解説書ではなく、より俯瞰的な立場から、アルゴリズムを使用したトレード戦略の適切なデザイン方法を述べたものである。ただし、利益の源泉となるリスク・プレミアムの例として取り上げられているのは、時系列分析から得られるモメンタムと平均回帰だけであるが、その分、平易で実務的な解説がなされており、少なくともこの2者に関しては十分な内容となっている。一般に、私たちが投資やトレードで使えるリスク・プレミアムとしては、ほかにもクロスセクション分析によるバリューやサイズなどもあるが、筆者が解説にあたってモメンタムと平均回帰に対象を限定したのは、それがだれにとっても直観的に分かりやすく、かつ最も広範囲に得られて、しかも堅牢だからである。

 いずれにせよ、本書のように、個別のトレード戦略の詳細ではなく、それらを構築するための方法論について書かれた書籍は数が少ない。それでも欧米人の手によるものはいくつか見られるが、日本人によって書かれたものは皆無である。思うに日本の投資家(機関投資家を含む)は、「どの銘柄を買えばよいのか?」とあちこち聞いて回るというナイーブな状態をやっと脱し、ようやく「どういった投資手法が優れているのか?」を探す段階に達したレベルなのではないかと思量する。これがさらに進んで、「投資戦略のデザインにはどのような考え方・思想・哲学が必要か、そしてそれを実践するための方法論とは何か?」が問題として意識されるには、まだまだ時間がかかるのかもしれない。

 だが、投資やトレードにおいて本当に重要なのは後者のほうである。なぜなら、一般に探索的なプロセスにおいては、その膨大な選択肢を効率的に刈り取ることが非常に重要なカギとなるが、金融市場にかかわる分野で実用に足るアルゴリズムを選ぶための評価関数は、あくまでエキスパートの頭の中に暗黙知として存在するだけで、明示的かつユニークに定まるものではないからだ。これら熟練者の持つ知識は、それを知っている当事者にとっては単純で自明のことばかりであるが、困ったことに、当事者には当たり前すぎて重要だとはほとんど意識されない。逆に、実務経験の浅いビギナーがメンターの存在なしにそれらを自然に発見するのは絶望的だ。つまり、投資戦略のデザインに必要な知識や技術の教授や学習は極めて難しいのである。だから、それらを断片的にでも形式知化して伝えてくれる本書のような存在は貴重である。ここに書かれてあることは一見何の変哲もないことばかりに思えるかもしれないが、その背景には多くの経験による知見の存在がある。本書は、絶対収益型の投資戦略を用いる機関投資家の運用にもたえる内容であり、これを読めば読者の学習期間を数年は短縮できることになる。個人的には、私が運用の仕事に就いた20数年前に本書があれば、どんなに良かっただろうかと思う。

 最後に、翻訳にあたっては以下の方々に感謝の意を表したい。山下恵美子氏は正確な翻訳を行っていただいた。そして阿部達郎氏には丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が発行される機会を得たのは、パンローリング社の後藤康徳社長のおかげである。

 2016年11月

長尾慎太郎

■第2章 アイデア

 アイデアはどこから来るのだろうか。アイデアはどこにでもある。ただし、それを認識する直感が必要だ。また、アイデアは簡単に説明できるものでなければならない。インディケーター、期間、パターン、コンピューターテクニックを組み合わせても、成功するトレードシステムを作成することはできない。こういったものを組み合わせても、過去では素晴らしくうまくいったが、将来的には機能しないようなシステムが得られるだけである。

 一から始めよ

 まずは、健全な前提を設定することから始める。

 ほかにもたくさんあるが、こうしたものを認識するには、実際にトレードしてみる必要がある。トレードは、意識を市場に集中させ、経済報告、地政学な出来事、企業ニュースの(あなたのお金に対する)効果を吸収する最良の方法だ。なぜなら、市場にお金を投じていれば、値動きに関するあなたの集中力は大幅に増し、損失を生むような問題は素早く解決しようとするからである。

 トレードに関する本を読んだり、オンラインセミナーを聴講したり、有名なグルの講義に参加したりするのもよいだろう。こうしたことを行うことで良いアイデアは着想できるかもしれないが、今日から使えるようなトレードシステムは得られない。これらの多くは重要な情報を与えてくれるかもしれないが、それは「周辺的」な情報にすぎない。つまり、ポジションサイジングや損切りの置き方などは学べるかもしれないが、高い授業料を支払ったとしても、彼らの最高のトレード手法は教えてはくれないということである。トレードのアートは自分で学ぶしかないのである。

 アイデアはあなたのトレードの性質に合ったものでなければならない

 あなたのトレード方法――つまり、あなたのトレードの性質――に合ったアイデアを見つけられるかどうかは、あなた次第だ。ポジションを取ってそれを1年間保有する投資家もいれば、価格が間違った方向に行った途端に市場から撤退する人もいる。あなたを惑わせるようなトレードを自分に強要してはいけない。

 私も私の妻もトレーダーである。家では毎日、市場についての話をする。私と妻のトレードスタイルは異なるため、これにはフラストレーションを感じる。彼女は長年にわたって取引所の会員で、フロアトレーダーだった。マーケットメーカーとして、彼女は1日のうちに何度も買いと売りを繰り返すが、その日の終わりには通常、マルにする。彼女にとってトレードを長期間保有するというのは、オーバーナイトを意味する。市場の方向性についての私たちの意見は異なることが多い。なぜなら、時間枠が異なるからだ。「市場は崩壊するわよ!」と彼女は言う。市場を見ていると、過去2時間のうちにS&P500が3ポイント下落する。「えっ? これのどこが崩壊?」と私は戸惑うことがしばしばある。彼女は売りポジションにこだわる。なぜなら売りのほうがお金を素早く儲けることができ、フロアトレーダーは個人投資家の逆サイドにいるのを好むからだ。

 2008年の金融危機から間もなく、混乱した市場は一生に一度の機会を提供してくれるに違いないという意見で一致した(私たちの意見がこれほどまでに一致したことはこれまでになかったので驚きだった)。私たちはポジションをセクター間で分散し、エネルギー、医療のほかに可能性のあると思える分野の良好な銘柄の長期ポジションを取ることにした。ポジションは彼女が設定した。

 翌週、彼女が資産配分した4〜5日あと、彼女はチェシャーキャット(「不思議の国のアリス」に出てくる猫)のようにニヤニヤしながら私のオフィスに現れた。「もう手仕舞ったわよ。ものすごく大きな利益が出たわ」。「すごいね!」と私は言った。私だったら1年間ポジションを保有したままでいたに違いない。

 要するに私が言いたいのは、あなたのトレードの性質は簡単には変えられないということである。もしあなたが短期トレーダーなら、短期戦略を見つけよということである。市場を毎日見るのが面倒くさい人は、長期トレンドフォロー、あるいは週次シグナルを使えということである。そして毎週結果をチェックする。あなたの性格にあらがってはいけない。そんなことをすれば失敗するだけである。

 すぐに利益がほしい

 すぐが利益が得られることを期待してトレードを始める人がいる。投資資金を5万ドル持っていて、生計のために毎月2500ドルの利益を上げる「必要」のある人を知っている。元金を減らさないためには、彼は毎年50%のリターンを稼がなければならない。これは非現実的だ。シナリオとしてはむしろ、元金から生活費を引き出して、口座は少しずつ減少していき、しまいにはトレードするお金がなくなってしまう可能性のほうが高い。

 利益が蓄積するのを辛抱強く待てる人でも、ポジションを何週間にもわたって保有する遅いトレードシステムでは資産スイングが大きく、利益の出るトレードはあまり得られないことに注意が必要だ。逆に、速いシステムでも損失が続けば大きなドローダウンになってしまう。とるリスクが大きいほどドローダウンも大きくなる。年末には利益が得られるはずと考えるのは現実的ではない。トレードシステムがいくら良くても、毎年利益が出るわけではない。資産が自然に減少していくときもあり、そんなときに口座からお金を引き出すのはタイミング的にはまずい。トレード資金は利益を得るための長期的な投資とみなすことが重要だ。

 時の試練に耐える

 本章の冒頭で列挙した戦略のアイデアは、時の試練に耐えてきたものばかりだ。若干の変更はあるかもしれないが、それほど大きく変わることはない。自分のシステムは最低でも15年間は利益を出してほしいと思うトレーダーもいれば、「過去3年間うまくいって、今でも同じくらいの利益を出しているのならば、トレードする価値のあるシステムだ」と言うトレーダーもいる。

 長期トレンドフォローは30年間利益を出し続けてきたし、ペアトレードは常に機能する概念だ。この2つの戦略は競争が激化した今利益を出さないこともあるが、うまくいくシステムであることに変わりはない。これは良い出発点になるはずだ。

 システムには、ときどき「調整」する必要のあるシステムもある。例えば、1990年代、私は短期の日中ブレイクアウトをトレードするファンドを持っていた。確かに1990年代は良い時代だった。特に、上昇を続けていた金利先物にとっては絶好の時期だった。しかし、1997年になるとボラティリティとともに利回りが低下し、日々の利益は減少していった。利益の大部分に貢献してきた市場が利益を生まなくなれば、ファンドのパフォーマンスは大きく低下するのは必至だ。

 そのシステムのルールは、オープニングレンジが確定したらブレイクアウトで買うか売り、そのポジションをオーバーナイトして、翌日の寄り付きで手仕舞うというものだった。ポジションを保有するのは一晩だけなので、トータルで1日だけの保有ということになる。やり方は実に簡単で、新たなトレードシグナルが出るまで今のポジションを保有する。新たなシグナルが今のポジションと同じ方向だったら、そのポジションを保持し、逆方向だったらドテンする。これによってトレードごとのリターンは増えたが、リスクも増えた。しかし、リターンは今やそのほかの損失を埋め合わせることができるほど大きくなっていた。概念そのものは変えないが、必要な改善へとつながる小さな変更は必要だ。このように、システムはときどき調整する必要がある。

 また、一時的な市場パターンを利用する戦略もある。2000年代初期、原油は毎日上げて引けた。まるで1人の大口トレーダーが毎日引けで買っているように思えるほどだった。そこで私たちは引けの10分前に買い始め、それはおよそ1カ月間うまくいった。しかし、好調なのもそこまでだった。何日か何も起こらない日が続いたあと、私たちはその戦略をあきらめた。しかし、大きな利益は手にした。

 鋭い観察眼を持ち、リスクをとる気があるのなら、利益の出る戦略は無数にある。


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