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ウィザードブックシリーズ Vol.237

システマティックトレード

システマティックトレード
独自のシステムを開発するための完全ガイド

2016年6月発売/A5判 446頁
ISBN978-4-7759-7206-9 C2033
定価 本体7,800円+税

著 者 ロバート・カーバー
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子

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目次 | 著者紹介

日の出のアイデアファースト、沈むデータマイニング

これからのシステム設計の予言書
システマティックなトレードの機能する理由がわかる
ロケット工学者が相場を席巻するする時代は終わった

 「ああ、また新しいトレードシステムの本か」と思われるかもしれないが、本書はそういったたぐいの本ではない。本書はあなた独自のシステムを開発するための完全なるガイドであり、トレードや投資の意思決定をスムーズに行ううえで役立つものだ。金融の意思決定を部分的にあるいは全面的にシステム化したい人にとっては必読の書である。

 本書では、金融理論を駆使し、システマティックなヘッジファンド戦略の豊富な運用経験を生かし、また掘り下げたリサーチを使って、なぜシステマティックなトレードでなければならないのかを説明する。そしてシステマティックなトレードを安全かつ利益が出るように行うにはどうすればよいのかを示していく。本書はトレードルールの作成方法からポジションサイジングに至るまで、トレードのあらゆる面を細かくカバーしているのが特徴である。本書で述べたフレームワークは株式、債券、FX、商品先物を含むすべての資産に適用することができる。

 成功を約束する魔法の公式はない。しかし、簡単な過ちを取り除くだけでもパフォーマンスは向上する。戦略を複雑にしすぎたり、リターンについて楽観的すぎたり、余計なリスクをとったり、頻繁にトレードしすぎたりといった人々が犯しやすい過ちを避ける方法も示していく。

 本書の重要な内容は以下のとおりである。

 本書は詳細かつ包括的に書かれており、実用的なアドバイスも満載である。また、システム開発の独特で斬新なアプローチも提供する。投資の意思決定の一部やすべてをシステムでやろうと思っている人にとっては必携の書であり、手元に置いて常に参考にしたい1冊である。



著者紹介

ロバート・カーバー(Robert Carver)
ロンドンのシティーで10年以上にわたってキャリアを積む。バークレイズ投資銀行でのエキゾティックデリバティブのトレードを皮切りに、その後世界最大のシステマティックヘッジファンドの1つであるAHLに移り、ポートフォリオマネジャーとして活躍。AHLではリーマン・ブラザーズの破綻に端を発した世界的金融危機を経験する。AHLではファンダメンタルなグローバルマクロ戦略の開発と運用資産数十億ドルの債券ポートフォリオの運用を担当。2013年に引退。経済学の学士号と修士号を持ち、現在は自分の資産で先物・株式のポートフォリオをシステマティックにトレードしている。

目次

監修者まえがき

序文
はじめに

第1部 理論

第1章 人間の脳は不完全
本章の概要
人間は偉大なトレーダーになれるはず。しかし……
シンプルなトレードルール
プランに忠実に従う
良いシステム設計

第2章 システマティックなトレードルール
本章の概要
良いトレードルールを作成するためには何が必要か
トレードルールはどんなときに機能しないのか
ルールのなかには儲かるルールが存在するが、それはなぜなのか
トレードスタイルの分類
達成可能なシャープレシオ
まとめ

第2部 ツールボックス

第3章 最適化
本章の概要
過剰最適化の危険性
効果的な最適化のためのルール
私のルールの選び方

第4章 ポートフォリオアロケーション
本章の概要
最適化は最悪の結果を招く
最適化を最適化そのものから救う
ウエートを手動で算出する
シャープレシオを考慮した場合

第3部 フレームワーク

第5章 フレームワークの概要
本章の概要
悪い例
モジュール式のフレームワークを使うわけ
フレームワークを構成する要素

第6章 投資対象
本章の概要
必要条件
投資対象の選択とトレードスタイル
市場へのアクセス
投資対象の選択――まとめ

第7章 予測値
本章の概要
良い予測値とは
損切りを使った自由裁量トレード
アセットアロケーションタイプの投資家の「ルールのない」ルール
システマティックなルールの2つの例
トレードルールの改良と作成
トレードルールとバリエーションの選択
トレードルールと予測値――まとめ

第8章 複合予測値
本章の概要
予測値ウエートを使って複合予測値を生成する
予測値ウエートを決定する
予測値の期待絶対値は10
上限は20
複合予測値――まとめ

第9章 ボラティリティターゲット
本章の概要
リスクターゲットの重要性
ボラティリティターゲットの設定
損益を繰り入れる
1トレード当たりに資金の何%を投じればよいのか
ボラティリティターゲット――まとめ

第10章 ポジションサイジング
本章の概要
それはどれだけのリスクがあるか
ボラティリティターゲットとポジションリスク
予測値からポジションへ
ポジションサイジング――まとめ

第11章 ポートフォリオ
本章の概要
ポートフォリオと投資対象ウエート
投資対象ウエート――アセットアロケーションタイプの投資家と忠実なシステムズトレーダー向け
投資対象ウエート――セミオートマティックトレーダー向け
投資対象分散乗数
ポジションとトレード
サブシステムポートフォリオの作成――まとめ

第12章 速度とサイズ
本章の概要
トレード速度
トレードコストの計算方法
トレードコストを考慮した設計
大口資金および小口資金でのトレード
全体的なポートフォリオサイズの決定
コストと資金に基づくシステムの調整――まとめ

第4部 実践

第13章 セミオートマティックトレーダーの例
本章の概要
あなたはだれ?
フレームワークを使う
プロセス
トレード日誌

第14章 アセットアロケーションタイプの投資家の例
本章の概要
あなたはだれ?
フレームワークを使う
週ごとのプロセス
トレード日誌

第15章 忠実なシステムズトレーダーの例
本章の概要
あなたはだれ?
フレームワークを使う
毎日やるべきこと
トレード日誌

エピローグ――システマティックな良いトレーダーになるためには

用語集
付録A 参考文献
付録B トレードルール
付録C ポートフォリオの最適化
付録D フレームワーク
謝辞

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監修者まえがき

 本書は英国の大手ヘッジファンドであるAHL出身のロバート・カーバーが著した“Systematic Trading : A unique new method for designing trading and investing systems”の邦訳である。これまで、ほかの書き手によるトレードシステムの記述がそのメカニカルなプロセスの範囲にとどまっていたのに対し、ここで解説されているのは機関投資家の運用にも堪える数少ない優れたフレームワークで、システムとしての金融市場をシステミックなデザインによってシステマティックにトレードするための方法論である。

 もともとシステム的な投資アプローチは、1970年代の米国のCTA(商品投資顧問業者)を嚆矢とし、農夫からMLBのボストン・レッドソックスのオーナーにもなったジョン・ヘンリーなど多くの成功者を生んできた。だが今世紀に入るころに彼らのパフォーマンスは一時期低迷する。米国の実証主義的なアプローチが、ベルリンの壁崩壊後の世界で起こった変化にすぐには追随できなかったせいである。

 一方で、そうした状況でも素晴らしい結果を出したのはAHLをはじめとした欧州のヘッジファンドであった。ここで欧州の投資哲学は米国のそれとは違い、解釈主義的である。さらにシステムに対するとらえ方も米国と欧州では異なり、米国のハードなそれに対し、欧州の認識はソフトで文脈的である。転換期においては、ピアグループのなかでも、採用する投資哲学やシステム理解の違いが投資戦略の存続可能性を大きく分けたのだ。

 ところで、日本においては投資における科学哲学やプロセスの重要性に対する理解が乏しい。これは経済学を含む多くの社会科学の体系が、明治以来の旧弊である輸入学問の上に成り立っており、これら借り物についてはその真贋を追及する厳しさに欠けるからである。埴谷雄高はこれを「できあがった思想の輸入」と呼び、それをよしとすることを竹馬に乗ることに例えた。だが、苦労して自ら生み出したものでない借り物の竹馬は、どんなに見晴らしが良くてもしばらく行くとバタリと倒れる。そして、転ぶとまた別の竹馬(輸入学問)を借りてくる。こうして次々と歩いては倒れる竹馬乗りが、悲しいかな私たち自前の哲学を持たない投資家の行動の実体である。

 こうした環境下で雑音に惑わされず決まった投資スタイルを貫くには、知的誠実さと忍耐が必要になる。本書にある新しいシステムアプローチはその意思と行動を支える基盤となる可能性がある。もちろん、投資において実証主義と解釈主義はそれぞれが長所と短所を持ち、どちらかが決定的に優れていると決められるわけではない。しかし、本書を読むと、なぜ欧州の運用戦略が外乱に対する適用力やレジリエンスが高いのかがよく理解できる。システムズトレーダー向けの書籍として、これまで米国人が書いたものは存在したが、欧州の運用者によるものは日本ではこれが初めてである。個人投資家、機関投資家を問わず多くの方に読まれることを心から願うものである。

 最後に、翻訳にあたっては以下の方々に感謝の意を表したい。山下恵美子氏は正確な翻訳を行っていただいた。そして阿部達郎氏には丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が発行される機会を得たのは、パンローリング社の後藤康徳社長のおかげである。

 2016年5月

長尾慎太郎

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序文 システマティックなトレードと投資

 私はトレードの意思決定をするのが苦手だ。ほかの人と同じように、売買するときになると、どうしても感情的になり、非合理的な行動をとってしまう。私は自分では金融の知識はあるほうだと思っているので、これにはいらだつばかりだ。私はこれまで多くの先行研究レビューを行い、徹底したリサーチを行い、20年にわたって自分のお金を投資し、大きな会社で10年にわたってファンドを運用してきた。

 理論的には、私は自分のやっていることを理解しているつもりだが、実際は売買する意思決定をしなければならないときになるとうまくいかない。私の心のなかで恐怖と貪欲が渦を巻き、判断力を鈍らせてしまうのだ。何週間にもわたって投資対象の会社のことを調べ尽くしても、トレードボタンを押すときになると躊躇してしまう。新聞記事や無名のブロガーの意見に振り回されて、売買を気まぐれにやめてしまうこともしょっちゅうだ。私もあなたと同じただの人間なのだ。

 しかし幸いにも、この問題に対する解決策はある。トレードの意思決定を一部あるいはすべてシステム化してしまうのだ。トレードシステムを構築することで、感情は一掃され、一貫性のある戦略にしたがってトレードすることが可能になる。

 私は長年にわたりシステマティックなヘッジファンドで大きなポートフォリオを運用してきた。残念ながら、自分のポートフォリオを運用するシステムを開発して、それでトレードする機会はなかった。しかし、引退を機に、自分のトレードプロセスを完全にシステム化することで、パフォーマンスは大きく改善された。

 トレードシステムを提供している著者やウェブサイトはたくさんあるが、これらの「システム」の多くは主観的な解釈を必要とするため、実際にはシステマティックではない。なかには短時間で大きなサイズをトレードするコストの高い危険なシステムもある。彼らが提供するのは1つの「汎用的」なシステムで、だれにでも向くわけではない。本書ではあなたのニーズに合い、過度な危険を伴わず、コストの安いあなた自身のトレードシステムを開発する方法を紹介していく。

 システマティックな投資はより多くの利益を生み、時間や労力も少なくて済む。本書はあなたの願望をきっとかなえてくれるはずだ。

 本書の読者対象

 本書はトレードの意思決定を完全にあるいは部分的にシステム化したいと思っている人を対象にしたものだ。

 ほとんどの人は、自分はトレーダーだ、投資家だと思っているかもしれないが、トレーダーにしても投資家にしても一般に認められた定義はない。本書に書いてあることは、トレーダーにも投資家にも当てはまるものばかりだ。したがって、本書ではトレードと投資という言葉は同じ意味と考えてもらいたい。

 本書は、アマチュア(自分のお金をトレードしている個人投資家)にとっても、他人のお金を運用しているマーケットのプロにとっても役立つものだ。「アマチュア」と言っても見下しているわけではなくて、ただ手数料を取って運用していない人という意味でしかなく、スキルレベルが低いという意味でもない。

 本書はイギリスやアメリカの投資家に限定したものではなく、いろいろな国の例を使う。特定の市場についてのみ書かれている著書が多いが、本書はどの資産をトレードするトレーダーにでも合うような一般的なフレームワークを提供している。株式、債券、FX、コモディティーを例として用いるが、これらはスプレッドベッド、ETF、先物での取引が可能である。これらのトレードの仕組みについては細かくは説明しない。よく知らない市場がある場合は、自分のトレードシステムを設計する前にほかの本やウェブサイトで調べてもらいたい。

 こんなことを言うと驚くかもしれないが、本書は人間の判断をすべてコンピューターでやることに懐疑的な人にとっても役立つものだ。なぜなら完全なるトレードシステムについて書かれた部分があるからだ。トレードルールは価格が上昇するのか下落するのかについての予測を提供してくれるものだ。トレードルールは完全にシステマティックにもできるし、人間の裁量によるものも可能だ。しかし、同じくらい重要なのは、ポジションとリスク管理のための良いフレームワークを持つことである。どのトレーダーも投資家も、完全にシステマティックなルールを使うことを好ましく思わない場合でも、ポジションとリスク管理にはシステマティックなフレームワークを使うべきであると私は思っている。

 価格を予測するとき、シンプルなルールを使わずに予測することがあるかもしれないが、そんな人のために、システマティックなフレームワークのなかでも自分の意見を尊重して、あなたの才能を最大限に生かす方法も紹介する。また人間でもマシンでも、市場を予測することはできないのではないかと感じている人もいるはずだ。そんな人のために、最良のポートフォリオを同じフレームワークで構築できることを示していく。

 3つのグループ

 本書では全編を通じて3種の典型的なシステマティックなトレーダー・投資家に焦点を当てる。このグループのどれにも該当しなくても焦る必要はない。私がこれら3つのグループを選んだのは、システマティックなトレーダー・投資家になろうとしているすべての人が直面する最も重要な問題を共有しているからだ。

 本書の最後の部では、これらの各グループに合ったシステムの構築方法について議論するが、それまでは各章は各章の冒頭に提示したグループ向けの内容と考えてもらいたい(提示されていないグループは読んでも読まなくてもよい)。

 ■アセットアロケーションタイプの投資家

 アセットアロケーションタイプの投資家は、異なるアセットクラス間で資産を配分する投資家だ。彼らは、短期的に流行を追いかけることによるリターンの減少を防ぐためにシステマティックな方法を使う。このタイプの投資家には、ゆっくり取引する賢いアマチュア投資家や年金基金のような長期的な機関ポートフォリオを運用する機関投資家が含まれる。

 アセットアロケーションタイプの投資家は、頻繁にトレードすることでリターンの上乗せを狙う人々に懐疑的だ。そのため基本的なアセットアロケーションの例では、資産価格がどうなるかは予測できないと仮定する。しかし、投資家のなかには自分の考えや他人の考えを具現化したいと考える人もいる。本書では、オーバートレード(トレードをしすぎること)することなく、あるいは極端なポートフォリオを作ってしまうことなくこれを達成する方法を示していく。

 ほかのトレーダーとは違って、アセットアロケーションタイプの投資家は通常レバレッジは使わない。本書では、レバレッジのかかっていないパッシブなETFを使って投資プロセスを示していく。しかし、私が提示する方法はアクティブおよびパッシブな集団的投資スキーム(個別ファンドを合同運用するタイプのファンド)に投資する投資家にも、個別銘柄のポートフォリオに投資する投資家にも当てはまる。

 私自身のポートフォリオにはETFバスケットも含まれているが、私はこれをアセットアロケーションタイプの投資家の原理を使って運用している。

 ■セミオートマティックトレーダー

 セミオートマティックトレーダーは、流動性のあるさまざまな資産に機会に応じて賭けるタイプのトレーダーだ(ギャンブル用語の「賭け」を軽蔑的に使っているわけではない。金融的なギャンブル、トレード、投資を区別するのは無意味だと私は思っている。不確実な結果に対して金融リスクをとっているという意味では、ギャンブルもトレードも投資もすべて同じである。リスク管理に対する理解は投資業界で働く人々よりもプロのギャンブラーのほうが上だ)。セミオートマティックトレーダーは価格がどれだけ上昇あるいは下落するのかを予測するとき、単純なルールよりも自分たちの裁量のほうが優れていると思っている。しかし、彼らはシステマティックなフレームワークのなかでこういった賭けをすることを好む。そのほうがポジションとリスクを正しく管理することができるからだ。こうすることで、市場を正しく判断することによって多くの時間を割くことができる。

 セミオートマティックトレーダーはレバレッジをかけ、デリバティブに投資することを好む。彼らは買い手にも売り手にもなる。資産価格の上昇に賭けるときは買い、下落に賭けるときは売る。私の例に出てくるセミオートマティックトレーダーは株価指数の市場やコモディティーのスプレッドベータ市場ではアクティブだが、これらの例はほかにも広く応用することができる。

 私自身は本書に提示したセミオートマティックトレーダーのためのフレームワークを使って英国株のポートフォリオをトレードしている。

 ■忠実なシステムズトレーダー

 忠実なシステムズトレーダーは、完全なるシステマティックなトレードのメリットを信じているトレーダーだ。セミオートマティックトレーダーやアセットアロケーションタイプの投資家とは違って、システマティックなトレードルールを使って値動きを予測するが、ポジションやリスクの管理は共通のフレームワークなかで行うのが普通だ。

 余剰的利益(アルファ)を与えてくれるトレードルールを見つけることができると思っているシステムズトレーダーが多いなか、自分には特別なスキルはないが、「バイ・アンド・ホールド」では手に入らない追加的なリターンを手に入れることができることを信じているシステムズトレーダーもいる。彼らは非常にシンプルなルールを使ってオルタナティブベータ(スマートベータともいう)の獲得を目指す。

 システムズトレーダーは、バックテストソフトとして市販のパッケージ、スプレッドシート、特注ソフトなどを購入するかもしれないが、本書では、バックテストの必要のない、フレキシブルな事前構成されたトレードシステムを提供するので、そういったプログラムを買う必要はない。しかし、独自の新しいアイデアを開発したい人もいるだろう。そういった場合に備えて、こういったパワフルなソフトウェアの安全な使い方を指南する。

 セミオートマティックトレーダー同様、忠実なシステムズトレーダーもデリバティブやレバレッジを使うことを好む。本書で紹介する例は先物トレードの例だが、同様の現物のトレードにも十分使える。

 私自身は今、8つのトレードルールからなる完全なシステムを使って自分のお金で40を超える先物をトレードしている。

 専門用語

 本書のテーマを理解するには特殊な用語が必要になる。専門用語はできるだけ使わないように努めるが、時にはフルスペルで書くよりもよく知られた略語を使ったほうが分かりやすい場合もある。

 本書では、金融関係の標準的な用語以外にも、私が作った造語も登場する(例えば、投資対象ブロック)。私の造語も巻末の用語集で簡単に説明している。重要な概念については深い理解が必要な場合もある。そのような概念に関しては、初出のときに以下に示すような概念ボックスで詳細に説明する。

 本書の内容

 システマティックな戦略を実行するのは、料理のレシピのような指示書に従うのに似ている。トレード本の多くは、限られたメニューからすぐに便利に食べられるものを提供するファストフードの販売店のようなものだ。しかし、本書はあなた独自の戦略を作成する手助けをするものだ。これは料理本を超えたもので、レシピを一から書くためのガイドである。あなた自身のシステムを使って投資を行うにはかなりのハードワークを必要とするが、長い目でみれば満足のいく結果を得ることができるだろう。

 あなた自身のレシピを作るには、食品化学やさまざまな料理を理解する必要がある。

 第1部の「理論」では、なぜシステマティックな戦略を使わなければならないのかについての基本的な理論と、さまざまなトレードスタイルの概要について説明する。

 第2部の「ツールボックス」では、システマティックな戦略の作成に用いられる2つの重要なテクニック――バックテストとポートフォリオの最適化――について説明する。これらはキッチンにある鋭いナイフのようにパワフルなツールだが、危険でもある。誤って用いれば、一見有望なアイデアに見えても、大きな損失につながる可能性がある。これらのツールの正しい使い方と、使ってはならないときについて説明する。

 第3部の「フレームワーク」では、システマティックな戦略を作成するうえでの完全で拡張可能なフレームワークについて説明する。

 第4部の「実践」では、フレームワークの3つの使い方を示していく。このフレームワークをセミオートマティックトレーダー、アセットアロケーションタイプの投資家、忠実なシステムズトレーダーのおのおのに対してどのように使っていけばよいかを説明する。

 本書はトレードのすべてのトピックを網羅する完全ガイドではない。それを補うために、付録Aでは、理解をさらに深めるための参考文献と本書で参照した著書を紹介する。また、システマティックな投資を始めるにあたって、データの入手先や適切なブローカーも紹介する。

 本書では数式や細かいアルゴリズムは省いた。その代わりに、付録Bではトレードルールの詳細を、付録Cではポートフォリオの最適化を、付録Dではフレームワークについての詳細を提示しているので参考にしてもらいたい。本書のウェブサイト(http://www.systematictrading.org/)ではさまざまな追加情報を提供しているので、こちらも利用してもらいたい。

 本書はトレード戦略の自動化についての本ではない。計算速度を上げるためにスプレッドシートを使って、手動でシステマティックにトレードすることも可能だ。したがって、自動化は不要だ。ただし、速度の速い複雑な戦略を実行するときには自動化したほうがよいかもしれない。私のウェブサイトでは私が作成した自動化システムについての詳細と、あなたの自動化システムを開発するうえでのガイダンスも提供している。

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